前職では、飲食の移動販売や雑貨店、飲食店などの業務を経験しました。思い起こすと、自分の中にも漠然とした出世意欲や、経営者への憧れのようなものがあったのでしょう。経営に向いているという根拠は何もなかったですが、やってみたいという思いはありました。そこで、業務のひとつだった冷凍マグロの卸売りの経験をもとに独立を決意。2020年8月25日に会社を設立しました。
現在は、冷凍マグロの卸売り事業を中心として、多角化に向けた事業展開を試みています。
・冷凍マグロの卸売り(ネット販売)
メインの業務で、業務用冷凍マグロをインターネットで受注。美味しいマグロを安価に届けるため、流通コストを削減し顧客の元へ直送しています。買い付けも自ら行っています。
・「マグロ千円ガチャ」開発・運営
当たりが出たら自宅にマグロが届く1,000円のガチャガチャ。マグロの魅力を、鮮魚店や飲食店といった従来とは違う角度から世の中に伝えたいと企画、開発しました。
・「海ガチャ市場」(弊社商標登録)
マグロをメインに、その他の海産物のガチャガチャを並べた空間をプロデュースしていきます。2年後を目途に一号店開設の予定です。
・「漁港」「地場」をモチーフにした事業展開
清水を代表するマグロなどの水産物だけでなく、地元産の農産物など、地域の産物を組み合わせた商品開発、販売などを行います。
全国各地のリゾートホテルや旅館、小規模飲食店が主な取引先で、インターネットを通じて、お客さまからの問合せ、注文が入ります。
飲食業界にもまだコロナ禍の影響が残っている現在は、ウェブサイトからの受注に絞り新規開拓は行っていませんが、完全に回復したら積極的な営業戦略を採っていく予定です。
前職の頃から、商工会議所の建物の前を通る機会が多く、外の看板を見て創業オフィスというものがあるのだと認識していました。また、清水の地域資源であるマグロを扱っているということもあり、地元の商工会議所が運営している創業オフィスに興味を持っていました。創業や経営に関して経験豊富な方々のご意見を伺えることから、起業に向けた準備期間も、相談やアドバイスをいただきました。当時オフィスは満室だったため、空きを待ち2022年5月入居しました。
私は東京出身なので、静岡のどんな人たちがどんな事業で創業しているのかとても興味がありました。「マグロ千円ガチャ」は、まず地元から展開したかったので、開発時にも商工会議所さんに相談にのってもらい、静岡県に提出する経営革新計画の作成や承認申請の際も伴走していただきました。プレゼンへの同行などのサポートが心強かったです。
また、創業者育成室の事務所は対外的な信頼性が高いため、創業したての会社でも顧客に対して事業の説得力が増します。
毎朝、めざましテレビを見てから出社します。来客以外は事務所にいることは少ないです。日中は清水の魚市場での冷凍マグロの情報収集や、マグロ千円ガチャのメンテナンス、倉庫での出荷作業、お客さまのもとに伺っての情報交換などで、たいてい外出しています。帰社後は「今日一日はどうだったのか?」と振り返りをして、やり残したことや課題を整理、翌日を迎える準備をします。
まずは、シンプルにマグロの購入客を増やすことです。お客さまから指名買いしていただけるような、価値ある事業づくりを目指しています。その一環として、「マグロ千円ガチャ」などの開発のような、食べるだけでなく、多角度からマグロを楽しんでもらえるような事業展開にも注力していきたいですね。
これからは発送する量も今まで以上に増える見込みなので、出荷担当者を増やす予定でいます。いずれは、企画担当者も迎え入れたいと考えています。
実際に会社を経営してみると、自分の事業は自分で切り拓かなければいけないという厳しさを感じています。この厳しさは、事業が拡大しても、その規模に応じてずっとつきまとってくるものだと感じています。今後、いろいろな事業展開を試みたとしても、会社のメイン業務はマグロの販売です。会社を支えてくれるのはマグロです。その恩返しのつもりで、美味しい清水のマグロを全国に向けて、さらに流通させたいと思います。
現代日本のリアルな社会や人間模様を描いた小説などをよく読みます。